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統計検定準1級(CBT)に合格した話

統計検定準1級(CBT)に合格した話

はじめに

新田新田

こんにちは、(株)ライトコードの新田です。

普段は機械学習の案件をいろいろやっています。

先日、統計検定準1級を CBT方式で受験して合格(77 / 100 点)しましたのでその話をしようと思います。

準1級はこれまで PBT方式で年一回の実施だったのですが、7月末に CBT方式に移行してテストセンターでいつでも受けられるようになりました。

合格までにした勉強と感想をまとめるので、今後試験を受ける方・考えている方・統計を勉強している方の参考になればいいなと思います。

勉強を始める前の状態

  1. 統計の基本の基本くらいは知っている
  2. 機械学習をいろいろやっている
  3. 高校数学+α くらいならわかる

機械学習はいろいろやっているのでそれなりに知識がありますが、しっかり統計を知っているわけではないので資格を利用して勉強しよう、というのが今回の僕のスタート地点でした。

機械学習と数学の知識は少しアドバンテージになったように思います。

どんな試験か

幅広い試験範囲

統計検定準1級の受験を考えている人は、2級を受けたことがある人が多いのではないかと思います。

僕もそうで、今年6月に受験して合格してから(2級という言葉の響きがちょっと普通かもしれないなあと思い始めて)8月に準1級を受けました。

2級の試験の範囲をガッと広くして、スッと深くしたものが準1級です。

準1級の範囲表の小項目を以下に列挙してみましたが、とても幅広いです。

  • 事象と確率
  • 確率分布と母関数
  • 分布の特性値
  • 変数変換
  • 極限定理, 漸近定理
  • 離散型分布
  • 連続型分布
  • 標本分布
  • 統計量
  • 各種推定法
  • 点推定の性質
  • 漸近的性質
  • 区間推定
  • 検定の基礎
  • 検定法の導出
  • 正規分布に関する検定
  • 一般の分布に関する検定法
  • ノンパラメトリック法
  • マルコフ連鎖
  • 確率過程の基礎
  • 重回帰分析
  • 回帰診断法
  • 質的回帰
  • 分散分析と実験計画法
  • 標本調査法
  • 主成分分析
  • 判別分析
  • クラスター分析
  • 共分散構造分析と因子分析
  • その他の多変量解析手法
  • 時系列解析
  • 分割表の解析
  • 分割表のモデル
  • 欠測値
  • モデル選択
  • ベイズ法
  • シミュレーション, 計算多用手法

なかなかワクワクしてくるでしょう?

範囲が一気に広くなるため、最初は2級と準1級の間には大きな隔たりがあるように感じられました。

一方で、実際に問題を解いていると難易度自体はそこまで高くはないようでした。

地道にひとつひとつ項目を理解して習得していくことが大切です。

2級をベースに考えるのがおすすめ

公式サイトには、

統計検定準1級は、2級までの基礎知識をもとに、実社会の様々な問題に対して適切な統計学の諸手法を応用できる能力を問うものです。

と書かれており2級の内容は準1級の試験範囲に全て含まれています。

また、受験の感覚も掴めるでしょうし統計の基礎は2級によくまとまっていると思いますので、まだ受けていない方はまずは2級を合格することをお勧めします。

数学の知識

高校数学の一部程度で大丈夫です。

具体的には、確率、微分積分(部分積分も一応ある)、指数対数、行列の計算などが出てきます。

公式を知っていてそれなりに使えたらOKだと思います。

文系だったので数Ⅲは知らないという人も、積分と行列の計算をすこしできるようになればこなせると思います。

論述問題

準1級のPBTは、「選択問題及び部分記述問題」+ 「論述問題(3問中1問選択)」だったのが、CBTでは「5肢選択問題、数値入力問題」になっています。

実際にPBTの合格ラインがどの程度だったのかわからないですが、CBTになってから受かりやすくなったのではないかと思います。

実際にした勉強

積み上げられた参考書

2級の勉強

統計WEB 統計学の時間

色々な方が勧めているように、統計WEBを利用しました。

2級の範囲をカバーしていて解説がかなり丁寧で、練習問題も用意されているので大変助かりました。

公式問題集を解く

日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集
日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集

 

2017〜2019年の過去問が掲載された書籍です。

6月実施分と11月実施分で1年につき二回、計6回分の問題が収録されています。

ある程度頻出パターンがあるので、それに慣れればOKかなと思います。

また、時間があったのでそれ以前の問題集も解いてみました。

統計検定 2級 公式問題集[2014〜2015年] オンデマンド (ペーパーバック)

PBTで受験する(2021.6)

CBTでもよかったのですが、PBTがこの回で最後ということと、なんとなく試験会場に行ってみたくてPBTで受験しました。

みんな使いやすそうな電卓持っているな…

チェビシェフの不等式ってなんだったっけ…トイレ行きたい…

という感じでしたがなんとか合格(自己採点で7割程度)することができました。

ちなみに、2021.6の問題は自分で解いた感じでも、twitterを見た感じでも難化した印象でした。

ワークブック

さて、2級を突破したら次は準1級の勉強です。

昨年発売された公式テキスト『統計学実践ワークブック』があり、準一級の幅広い範囲が一冊にまとめられています。

これを使わない手はないでしょう。

日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック
日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック

 

読み進めながら例題を解いていくのですが、何を言ってるのかわからないところが出てくると思います。

その場合は、webや別の本で調べましょう。

また、一回読み進めたときにすべてを理解しようとせずに、難解すぎるところは一旦飛ばしてまず一周してしまうことを優先ほうがいいです。

なんといっても範囲が広いですし、問題を解いていく中で理解ができるようになることもあります。

2周3周したり、調べるのに使ったり、ワークブックは準一級対策の中心として使いました。

僕は2章、4章あたりが難しいと感じたので、この本も合わせて読み進めました。

数理統計学: 統計的推論の基礎
数理統計学: 統計的推論の基礎

 

説明が丁寧でよかったのですが、演習問題の解答がないことが残念でした…。

明解演習 数理統計

明解演習 数理統計 (明解演習シリーズ)
明解演習 数理統計 (明解演習シリーズ)

 

上の本の演習問題はやる気が起きなかったので、こちらの本も合わせて使いました。

基本事項/例題/解説/演習問題 というシンプルな構成で、サクサク進めるので解いていて楽しかったです。

公式問題集を解く

日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2018〜2019年]
日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2018〜2019年]

 

日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2016〜2017年]
日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2016〜2017年]

 

準1級は一年に1回しか実施されていなかったようで、過去問の数が少ないです。

出版されている問題集で4回分と、今年の6月実施分(公式サイトで公開されています)の合わせて5回分を利用しました。

これなんだったっけ、こんなのあったっけ、となったら都度ワークブックに戻りましょう。

主観かもしれませんが、古いものの方が簡単だった印象なので古い順に解くのがお勧めです。

また、間違えた問題、間違えそうな問題は繰り返し解きました。

ちなみに、問題集のページ的にPBTの論述問題の存在に気づいたのが試験前々日で、パラパラ読んでみるくらいしかできませんでした…

試験に論述問題はありませんが、範囲は同じですので忘れずに読んだ方が良さそうです。

勉強期間

  1. 2級の勉強に7週間(過去問解いたら普通に合格ライン超えてたのでだいぶダラけた)
  2. 準1級の勉強に8週間

平日は仕事が終わってから1, 2時間くらい、休日は競馬を見ながら本を読んだり集中して3~5時間くらい勉強したりという感じでした

テストセンター

予約

90分枠に対応している試験会場が少ない(?)からなのか準1級を受験可能な会場を探すのに微妙に時間がかかりました。

オデッセイテスティングセンターに予約できました。

土日は結構すぐ予約が埋まるようなので、早めに抑えた方が良さそうです。

持ち込みの電卓

大きくて打ちやすい電卓を用意したほうが安心ですが、ダイソーの電卓で十分でした。

数値表/紙とペン

受験前にラミネート加工された統計数値表と計算用紙2枚、ボールペンが渡されました。

そういえば数値表に e^x の表がなかったのが少し気になりました。

計算用紙は、やや大きめで表裏使えるため多少贅沢に使っても足りました。

試験時間/問題数

CBT では90分、25問〜30問となっています。

受験時に PC には21問と書かれていて少ないのでは?? と思いましたが、これは大問の数だったようで実際に回答する箇所としては25〜30問だったのでしょう。

最後まで解いた段階で20分程度余って見直しができたので、問題にもよるでしょうが時間がカツカツになるということはあまりないのではないかと思います。

結果発表

以前、CCNA や OCJP などのベンダ資格を受けたときは、テストセンターを出て帰っている途中にメールで結果が送られてきたので比較的落ち着いて結果を確認できました。

一方、統計検定では終了ボタンを押して簡単なアンケートを終えると画面に結果が即座に発表されるのでドキドキです。

その他

受験料

8000円でした。昔 CCNA を fail してしまって4万円飛んで行ったことがあるので、比較的気楽に受けられますね。

ちなみに、受験料は会社が負担してくれました。

個人的に受けてみた試験だったのですがダメ元で聞いてみたところ「ふつうに業務に役に立つ資格ならOK!」ということでした!!

(準1級だけでなく2級、統計調査士、G検定も会社負担してもらいました)

エンジニアとして大変ありがたい仕組みです。

易化?

論述問題がなくなった分、やはり受かりやすくなっていると思います。

また、試験範囲に比べて問題数が少ないため問題の合う合わないはありそうです。

機械学習

あんまり知らないよという人は、幅広めの機械学習の入門本はたくさん出ているので、本屋に行って気に入った本を読んでみるといいと思います。

2021年の手書き数字の PCA とかオートエンコーダを見たときは、おや?機械学習寄りになってきたのか?と思いました。

だいたい知っているよーという人は特に対策しなくてもワークブックで十分です。

感想

統計検定は、統計の勉強をする上でいい教材だと思います。

準1級は特に範囲が広いのが大変ですが、そのぶん分析を行う上でこういうデータにはこういう手法が有効そうだとか、論文を読む上で理解が深まりやすいとかためになりそうです。

ワークブックはこれからも参照することがありそうです。

まとめ

  1. 準1級を受ける前にまず2級を合格できるようにした方がいい
  2. 広範囲だが高難易度ではないので地道に習得していくことが大切
  3. ある程度雑でいいのでワークブックを中心に勉強、よくわからない章を補う本はあったほうがいいかも
  4. 過去問の量が少ないので大事に使いたいが、ワークブックを一周したら手をつけた方が良さそう、古い順に使った方が良さそう
  5. テストセンターの予約は早めにした方が良い
  6. ライトコードは技術力を大切にする会社なので資格試験が経費になる

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