VRは革命だ!
ジョン・カーマックとは
ジョン・カーマックは、現在アメリカのテクノロジー企業「Oculus VR(オキュラス VR)」の最高技術責任者です。
また、VRヘッドセットの進化に大きく貢献している人物の一人として知られています。
しかし、コンピューターの世界での彼の最も偉大な功績は他の事にあります。
それは、現在のeスポーツゲームなどにも数多くのタイトルが採用されている「一人称シューティングゲーム (FPS)」の基礎技術を、プログラマーとして生みだしたことです。
パソコンを盗む問題児が歴史的ゲームを生み出すまで
1970年アメリカ・カンサス州に生まれたカーマックは、アメリカを代表するゲームプログラマの一人です。
幼い頃からコンピューターへ強い関心を持っていたカーマック。
その執着心から14歳のときに高校の Mac を盗み、1年間少年院で過ごしたというエピソードの持ち主なのです。
その後、大学を僅か2学期で中退し、10代からフリーランスのプログラマとしてゲーム制作の現場で活躍していました。
ジョン・カーマックの快進撃
21歳の時に、伝説のゲームプログラマとして知られるジョン・ロメロらとゲーム開発会社「id Software」を設立します。
この会社でカーマックは、3Dを中心としたコンピューターグラフィックスの新たな表現方法を次々と開拓しました。
1993年には、「FPS」というゲームジャンルを確立した大ヒットゲーム「DOOM」を発表します。
「DOOM」は、ゲームの主人公の視点で3次元空間で戦う、これまでにない没入感が画期的なゲームでした。
ゲーム開発延長線に突入、いざVRの分野へ
2013年カーマックは、ゲームとVRアプリのためのヘッドマウントディスプレイの開発企業「Oculus VR」の最高技術責任者(CTO)に就任します。
Oculus社は、前年の2012年に、自社で開発したヘッドマウントディスプレイの試作機「Oculus Rift」を、ディベロッパー向けに販売したばかりのスタートアップ企業でした。
これまで、プログラマとしてVR(仮想現実)に通じる技術をリードしてきたカーマックは、Oculusの開発初期段階からVRに興味を持ちました。
そして、Oculusの一番のファンでもありました。
険しい道のり
CTO に就任する以前から、自らが制作した「DOOM3」のVR版のプロトタイプの開発を積極的に行いました。
そして、Oculus に加わってからは、Android向けの VR の開発などに携わりました。
2014年には、Facebook が Oculus VR を買収し傘下に置いたことで、事業は軌道に乗ると思われました。
しかし、創立者のパーマー・ラッキーの退任や、新製品の販売不振など、必ずしも順風満帆とはいきませんでした。
オープンな理念が裏目になったVR技術訴訟
若い頃からカーマックは、技術のオープンソース化を提唱していました。
時には、自ら開発したコンピューターグラフィックスの技術やゲームのプラットフォームの開放にも尽力してきました。
eスポーツが誕生する遥か前の1990年代後半に、ゲーマーのトーナメントに所有するフェラーリを差し出したり、ゲームソフト「Quake」のソースコードが盗まれ、他のプログラマーがLinuxに移植したことを知らされても訴える事はしませんでした。
そこには、常にソフトウェアやゲームコミュニティーの発展を考えてきた、カーマックの寛大な一面が伺えます。
カーマック不運の連続
しかし、カーマックが古巣「id Software」時代に自身で開発したVR技術の知的財産をめぐり、2014年「id Software」の親会社がOculus社を訴えるという事件が起きます。
カーマックにとっては、自らが開発した技術と創業した会社に訴えられるという、まさに寝耳に水の話でした。
「id Software」時代に開発したVR技術の開発も、新たな分野の発展のために彼がはじめた善意のものでした.
しかし、皮肉にも司法にはそれを認められず、4年間の係争の後にOculus社は敗訴して賠償を命じられました。
ジョン・カーマックの現在
カーマックは、現在も「Oculus VR」の CTO として、VR技術の発展を先頭に立ってリードしています。
しかし、VR が注目され数年が経過した今も、一般への浸透には程遠い状況です。
ただ、年を重ねるごとにハードとソフトの開発が進み、まもなくブレイク前夜といった雰囲気ともいうことが出来るでしょう。
カーマックは、Oculusの現状や技術的問題点などについて技術者たちとTwitterで議論したり、ユーザーの質問に答えたりしています。
49歳になった今も常にオープンで好奇心旺盛なギークの心を持ち続けている稀有な大物の一人です。
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