Eメールの「@」を考案したレイ・トムリンソン
そういえば、ももさんは momo@xxx.xx.xx だったっけ…?
「@」のおかげでドメイン名とアカウント名がわかりやすいですよね
レイ・トムリンソンが入社したBBNはネットワーク通信開発の最先端だった
音響技術から始まったBBN
1967年、レイ・トムリンソンはBBN(BOLT Beranek and Newman)に入社します。
のちに BBN Technologies となるこの会社は、1948年に音響コンサルティング会社として始まり、国際連合ニューヨーク本部のアセンブリー・ホールの音響設計のコンサルティングなどを手掛けてきました。
BBNは1957年、マサチューセッツ工科大学リンカーン研究所より、准教授であったジョゼフ・カール・ロブネット・リックライダーを副社長として招きました。
そして、1958年にコンピュータを導入し、音響技術にコンピュータを用いるようになります。
またAPPANETの開発に大きく関わるようにもなるのでした。
インターネットの元となるARPANETの開発
リックライダーは、1962年「BBN」を離れARPAのIPTO(情報処理技術局)の部長に任命されます。
1963年コンピュータネットワークの概念を提唱しましたが、在任中には計画は実行されませんでした。
その後、彼の意志を継いだロバート・ティラーら部下たちによって研究は続けられ、1966年に国防高等研究計画局の「ARPA」から資金を受けて、大学や研究機関に呼び掛けてネットワーク通信開発のプロジェクトが本格的に立ち上がりました。
このプロジェクトに「BBN」は「ARPA」と請負契約し、開発を進めます。
こうして研究は進み、カルフォルニア大学なども参加したネットワーク実験を行い、無事成功しました。
こうして1969年、次の4つの場所を結ぶネットワーク「ARPANET(アーパネット)」が誕生しました。
- カリフォルニア大学ロサンゼルス校
- スタンフォード研究所の オーグメンテイション研究センター
- カリフォルニア大学サンタバーバラ校
- ユタ大学の計算機科学科
「ARPANET」は世界で初めてのパケット通信コンピュータネットワークを運用したことでも有名です。
レイ・トムリンソンも入社後、「ARPANET」に関する開発をするようになります。
何を送ったのか覚えていない初めてのEメール
レイ・トムリンソンが入社した「BBN」ではコンピュータ「PDP-10」用のOS「TENEX」の開発をしていました。
トムリンソンはAPPANET間で使用できるファイル転送プログラム「CPYNET」を開発しました。
その後メッセージ送信プログラム「SNDMSG」に「CPYNET」のコードを追加して、他のコンピュータへのメッセージを送るようにしたのでした。
当時のコンピュータは大型で、一つのコンピュータを複数のユーザーで共有し、そのひとつのコンピュータ内でのメッセージの送信はすでにできるようになっていました。
しかし1971年、レイ・トムリンソンは2台の異なるコンピュータ間でメッセージを送信することに成功したのでした。
「@」をメールアドレスに採用
この初めてのメッセージ送信時に「@」を使ったメールアドレスを使用し、Eメールのシステムができあがりました。
「@」を使ったのは、ローカルマシンからのメッセージなのか、他のコンピュータからのメッセージなのか識別したかったからです。
また「@」は、名前では使われない記号だったため、使用するのに支障のない記号でした。
場所を表す意味のある「at」を意識して「@」にしたとも言われています。
レイ・トムリンソンは実験でどんなメッセージを送ったのか覚えていなかったのだ
インターネットの普及とともに広がったEメール
レイ・トムリンソンが開発したEメールは、利便性の良さから「ARPANET」だけではなく、他でも使いたいという声が上がり、「IBM」などもEメールシステムを作るようになりました。
1980年代になるとネットワークは「ARPANET」だけではなく、「BITNET」や「NFSNET」も始まり、異なるネットワーク間でもメールのやり取りもできるようになっていきました。
人々の生活が変化
「@」を使用したメールアドレスも多くの人に利用されるようになり、1982年「@」は、Eメールの標準規格「RFC822」に取り入れられました。
1990年代に入ると、政府や教育機関など利用範囲が狭かったインターネットも、MacやWindowsのパソコンの普及とともに、会社や個人でも利用する人が増えていき、Eメールでのメッセージのやり取りも盛んになりました。
CcやBccで一斉に多くの人に送信できるようになり、メーリングリストでは更にグループ内でのメール送信が簡単になり、「Cc」で誤って送って他の人にメールアドレスが知られるようなことも防止することができました。
今では当たり前のEメールで大したことがないように感じるが、当時は人々の生活に大きな変化をもたらしたんじゃ
インターネット殿堂入りでも、謙虚さは変わらず
レイ・トムリンソンは2012年にインターネットの殿堂入りを果たしました。
インターネットの殿堂とは、インターネットソサエティ(ISOC)によりインターネットの発展と進歩に大きく貢献した人に賞を授与することです。
しかしレイ・トムリンソンは、インタビューでモール(モールス符号の発明者)やベル(電話の発明者)などの偉人に続くのではと聞かれますが、「進歩は速くなってきているので、一つ一つの進歩も目立たくなって記憶に残る人は少ないだろう」と謙虚に答えています。
確かに現在では LINE や SNS で連絡やコミュニケーションをとるようになり、Eメールを使うことは少なくなりました。
しかしレイ・トムリンソンの名前は憶えていなくても、「@」を見るたびにEメールの存在を感じ、その流れから今のコミュニケーションツールがあることを感じるでしょう。
レイ・トムリンソンは2016年3月に74歳で亡くなりました。
1年で10年進む業界と言われているな!
それを改良したり新しいものをまた作ったりしないといけないからな!
どこに送るのじゃ?