のはじまりは?
Bluetooth、Wi-Fi、GPS世界中で使われているテクノロジー
BluetoothやWi-Fiは、電波を使用し「無線通信」をしています。
現代ではなくてはならない、「Bluetooth」や「Wi-Fi」「GPS」は、FHSS(周波数ホッピングスペクトラム拡散)と呼ばれる通信方式が採用されています。
これは無線技術がそもそも持っている電波干渉に弱い問題を改善するもので、無線の周波数を決められた周波数帯内で、高速移動させることで、電波干渉を防ぐという画期的な技術でした。
普段使用しているこの無線通信を支える基礎が、実はハリウッド女優が開発したものだって知ってますか?
今回は、女優にして天才発明家でもある一人の女性にスポットを当ててみます。
世界で使用されている無線技術を発明した...米ハリウッド女優とは
この技術を開発したのは、オーストリア出身の「ヘディ・ラマー(1914年~2000年)」です。
米国のハリウッド女優でした。
幼少期、父親と街を散歩をするのが好きだった彼女は、街灯やバスの仕組みを知りたがる好奇心旺盛な女の子でした。
そんな中で、発明家としての道がぼんやり見えていたのかもしれません。
演劇の盛んな大都市ウィーンに育った彼女は、1930年16歳のとき、まずは監督助手となりキャリアをスタートさせます。
1933年に、裕福な兵器製造業者フリッツ・マンドルと結婚。
嫉妬深いフリッツは、彼女を女優業から引退させ、軟禁同様の生活を強制します。
そんな生活に嫌気がさした彼女は、1937年に逃げるように離婚、1938年アメリカに渡りハリウッド女優としてデビュー。
数々の映画に出演し、一躍スターダムにのし上がりました。
そんななか、第二次世界大戦が勃発します。
周波数ホッピングの完成~特許へ
第二次世界大戦中、疎開する子供たちを乗せた船がナチスの潜水艦により、大西洋上で爆撃されていることを知り、心を痛めたヘディ・ラマーは、潜水艦を攻撃するシステムを開発します。
潜水艦の攻撃には無線誘導の魚雷が有効ですが、無線誘導は当時の技術では電波妨害に遭いやすく命中率が低かったのです。
そのため、妨害されにくい無線システムを開発できないかと考えました。
そして、ヘディ・ラマーは、同じく発明家であり音楽家であったジョージ・アンタイルと共に開発に没頭しました。
ある日の休憩中、ジョージとお互いに転調しあいながらピアノを弾いていた彼女。
「周波数もこんなふうに変えていけば妨害されないのでは...」というところから着想を得て、ついに完成に至り特許を得ました。
世に認められ世界へ
ヘディは、完成した技術をアメリカ海軍に提案しますが、口出しされることを嫌った海軍は取り合うこともしませんでした。
やがて、その技術は実用されることなく終戦を迎えてしまいます。
時は流れ、1962年のキューバ危機で、海軍はやっとヘディの周波数ホッピングに手を加えて実用化しました。
1990年代には、「Bluetooth」「GPS」「Wi-Fi」「携帯電話」といった通信テクノロジーに採用され、EFF Pioneer Awardを受賞、2014年には全米発明家殿堂(NIHF)入りを果たします。
晩年のヘディ・ラマー
薬物依存になっていたと言われる晩年のヘディ。
ですが、その卓越した頭脳は、なお健在だったと言います。
彼女が亡くなる3年ほど前に面会した技術者の評によると
彼女と話していると映画スターと話している気はまったくしなかった。
ただただ、卓越した技術者、発明家と話しているという感覚だけがあった。
脈絡のない技術的な事項が、彼女の聡明な頭脳の中で次々とつながり整理され、アイデアの滝となって口からほとばしる。
その様子は壮観だった。
とのことでした。
進化する無線技術
キーワードは3つ
- LPWAN
- 802.11ax無線LAN規格
- 次世代移動通信システム(5G)
LPWANとは
LPWANとは、省電力(Low Power)な、WAN(Wide Area Network)のことで、その名の通り省電力で広域通信を可能にする技術のことです。
つまり、「携帯電話」や「PC」といったデバイスのバッテリーの持ちが格段に良くなるかもというお話です。
現在主流の「3G」や「4G」や「LTE」といったものは遠距離通信に長けているが電力を消費します。
対して、Bluetoothなどの無線技術は省電力だが、電波が遠くまで届きません。
LPWANとは、これらのいいとこどりの技術といえます。
業界団体により構成するGSMAによれば、「2022年までに50億台のデバイスが LPWAN でネットが可能となる」と予測しています。
802.11ax無線LAN規格とは
802.11ax は、いわば、超高速Wi-Fiです。
その通信速度は、10Gbps。
これは現在主流の「11nの600Mbps」や「11acの6.9Gbps」よりもさらに高速であり、少し通信速度にうるさい人であれば「従来のWi-Fiと速度比較してみたい」と思うレベルです。
とくに、周波帯域が「2.4GHz」と「5GHz」の両方をサポートしています。
そのため、壁などの障害物があっても途切れにくく、ネット速度が維持できるのが強みです。
次世代移動通信システム(5G)とは
次世代移動通信システム、5G はもう知ってる人も多いと思います。
すごく速いスマホの通信回線のことです。
具体的には、この5Gの平均ダウンロード速度は「平均 5Gbps」です。
この値は理論上ですが、4Gの10倍から100倍速く、自宅のインターネット(光ファイバ通信)の2.3倍速い計算になります。
5G を使用した「クルマの自動運転の実現」や「監視カメラのセキュリティシステム」や「遠隔操作による建築施工」などに期待がよせられています。
まとめ
今や通信は、我々の生活にとってなくてはならない存在になっています。
ここ100年ほどで、驚異的な進化を遂げた通信技術。
この技術は、エンジニア達が自身の人生を開発に捧げ、今なお進歩しています。
我々は、その技術を享受し楽しみつつ、裏に隠された開発者の人間臭い物語を調べていくと、難しい用語が並ぶ専門書も視点を変えて読むことができるかもしれません。
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