コンピュータの処理速度の進化
コンピューターの処理速度はどれくらい進化した?
最新のスパコン性能は?
IT 技術の世界は日進月歩。
コンピューターの性能もどんどん進化しています。
最新のスパコンの処理速度は、初期の頃と比べ、なんと約26億倍もアップしているのだとか。
カタツムリとジェット機ですら比較にならない?
そう言われても、26億倍なんて途方もない数字、さっぱりイメージできませんよね?
それでは、とてつもなく速い乗り物「ジェット機」と、とてつもなく遅い生き物「カタツムリ」で比較してみることにしましょう!
高高度偵察機「SR-71ブラックバード」 | 時速 4,023 km |
カタツムリ | 時速 48 m |
つまり、世界最高速のジェット機は、カタツムリの84,000倍の速さで、比較にすらならない「進化」でした!
今のスパコンは異次元並みの進化を遂げている
しかし、ジェット機とカタツムリの比較でも及ばないとは、26億倍という数字がいかに途方もないものかがわかりますね。
もはや、スパコンは、「カタツムリ」から、一瞬で異次元にワープする「宇宙船」レベルの進化を遂げたというべきかもしれません。
そこで今回は、「スパコンの処理速度」にスポットを当てて、昔と今を比べてみたいと思います。
黎明期のコンピューターの処理速度は…?
まずは参考までに、世界初となった電子計算機の処理能力を見てみましょう。
世界初の電子計算機「ENIAC」
世界初の電子計算機「ENIAC」は、1945年にアメリカで誕生しました。
この ENIAC が、現在活躍しているコンピューターの元祖にあたります。
処理速度は現在の電卓以下
そんな ENIAC の処理速度は、0.005MIPS(ミップス)。
つまり、1秒間に5,000回の加算ができるという意味です。
現在の電卓以下の処理能力ですが、当時は最先端の計算機だったんです。
スパコンの進化
それでは、コンピューターの中でも特に処理能力が重視される「スパコン」はどうでしょう?
高速かつ膨大な計算を得意とするスパコンは、以下のように幅広い分野で活用されています。
例えばこんな感じです。
- 宇宙開発
- 天体観測
- 気象予報
- 新薬の開発
- 災害対策
- 自動車産業
さっそく、科学技術の発展に貢献してきたスパコンの「進化」と「処理速度の向上」の歴史を見ていきましょう!
世界初のスパコン「CDC6600」
出典:Wikipedia
世界初のスパコンは、1964年にアメリカの CDC 社が開発した「CDC6600」だと言われています。
処理速度は、平均して3Mflops(メガフロップス)だったとのこと。
これは、1秒間に300万回の浮動小数点演算ができるということです。
現在の CPU に劣る処理速度
一見「すごい!」と思ってしまいますが、現在パソコンに使用されている CPU「インテル® Core™ i7-980X」の処理速度は、なんと約80Gflops(ギガフロップス)!
つまり、1秒間に800億回の浮動小数点演算ができるというわけです。
それを考えると、スパコンで3Mflops の処理速度は論外ですね。
CRAY 1
出典:Wikipedia
「CDC6600」に次いで、1975年「CRAY 1」が誕生します。
開発を担当したのは、「CDC6600」の生みの親であるシーモア・クレイでした。
10年で50倍以上の進化を遂げた
この「CRAY 1」の処理速度は160Mflops。
やはり今から見ると、大した処理能力ではありません。
しかし、CDC6600と比べると飛躍的な高速化には違いなく、第一号機をめぐり、2つの国立研究所が熾烈な争奪戦を繰り広げたそうです。
日本のコンピューター世界最高レベルへ大躍進!
国内初のスパコン「富士通スーパーコンピューターVP-200」
アメリカに遅れること約20年、日本でもついにスパコンが誕生します。
それが、1983年に開発された「富士通スーパーコンピューターVP-200」。
処理速度は、500Mflopsでした。
日本製スパコンの黄金時代
このスパコンの開発を皮切りに、日立や NEC など大手が続々と参戦。
日本製スパコン黄金時代の幕開けとなります。
日本のスパコンが世界最高速に
1980年代後半になると、日本のスパコンは世界でも最高レベルに達して、スパコン業界で抜群の存在感を示すようになります。
そして1989年、NEC「SX-3」が世界最高速機として認められることに。
処理速度は22Gflops という、当時としては驚異的なものでした。
スパコン性能ランキング TOP10以内に日本製が6機も
その後、1990年代後半に入るまで、日本製スパコンの黄金時代は続きます。
年2回、世界におけるスパコンの性能を評価して発表するランキング TOP500 にも、日本製スパコンが列挙されることに。
たとえば、1996年の11月のランキングを見てみましょう。
1位 | 日立「CP-PACS/2048」 | 368.2Tflops |
2位 | 富士通「風洞」 | 229.0Tflops |
3位 | 日立「SR2201/1024」 | 220.4Tflops |
8位 | 富士通「VPP500/80」 | 98.9Tflops |
9位 | 富士通「VPP700/56」 | 94.3Tflops |
10位 | 富士通「VPP700/46」 | 94.3Tflops |
ご覧のように、TOP3を日本勢が独占したのみならず、TOP10に日本製スパコンが6機種もランクインしています。
「Mflops」から「Tflops」の時代へ
この頃のスパコンの処理速度は、既に「Tflops」(兆)の単位へ到達。
各国がものすごい勢いで競い合い、天文学的数値の高速スパコンを世に送り出していました。
日本製スパコンの復活「京」
出典:Wikipedia
全盛期から十数年ほど、日本のスパコンは低迷が続きます。
…が、2011年11月、久々に日本製スパコンがトップに躍り出ます。
それが、理化学研究所と富士通が共同開発した「京」。
世界最速の実力は、なんと 10.51Pflops(ペタフロップス)!
「Tflops」から「Pflops」の時代へ
ついにスパコンの処理速度は、「Tflops」から「Pflops」(1,000兆)の単位へ突入したのです。
ちなみに、当時第5位として、東京工業大学の「TSUBAME 2.0」(1.19Pflops)もランクインしています。
お疲れ様、「京」
この「京」は、2012年に本格的に稼働開始。
世界最速の処理能力を生かし、新素材や新薬の分野で活躍します。
しかし、各国の熾烈な開発競争に押される形で、ついに第一線を退くことに。
そして、2019年8月にシャットダウンが行われ、7年の歴史に幕を閉じました。
富岳ぶっちぎり世界1位!
出典:Wikipedia
世界最速を誇った「京」の後を継いだのは、同じく理化学研究と富士通の共同開発「富岳」です。
こちらも、2020年6月の TOP500でダントツの1位に輝きました。
その処理速度は、なんと「415.53Pflops」!
これは、1秒間に約41.5京回の浮動小数点演算をするということです。
スパコンの世界は天文学的数値の戦いへ
「兆」の上にあたる単位「京」は、10の16乗の数値を表します。
さいごに
さて、スパコンの処理速度の歴史、いかがでしたか?
およそ26億倍もの進化を遂げたスパコンですが、まだまだ成長の可能性を秘めています。
果たして一体どこまで速くなるのか、今後も楽しみですね!
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