LHA形式を作った、IT界の二刀流!?




LHAという圧縮プログラムを作った人じゃ!

すごい~そんな野球選手いたんだ!

今回は、LHA形式を作った「吉崎栄泰」さんをご紹介しよう!
LHAは日本で広く普及した圧縮形式

データ圧縮することでファイルのデータ量を減らして保存・転送できる
データ圧縮は、情報量を保ったままデータ量を減らす技術です。
ファイルのデータ量を減らすことで、転送が短時間でできたり保存する容量を減らせたりなど多くのメリットがあります。
ソフトウェアやファイルのダウンロードや保存に使われるなど、現在のITには欠かせない技術です。
圧縮されたファイルは、解凍することでもとのデータ量に戻して使うことができます。
ZIPやLHAなどたくさんの形式がある
データ圧縮のプログラムは1つだけでなく、いくつもの形式が今までに開発されています。
現在、最も普及しているのは「ZIP形式」が有名ですね。
ZIP形式のほかにも、「LHA」や「RAR」など20種類以上もの圧縮形式があります。
その中で、日本でおなじみの圧縮形式はZIP形式とLHA形式です。
LZH形式
LHA形式は、1990年代から2000年代にかけて広く普及して使われた圧縮形式です。
圧縮したファイルの拡張子が「.lzh」となることから、「LZH形式」とも呼ばれます。
このLHA形式の圧縮ソフトウェアを開発したのは、なんと日本人なんです!
そのことから、LHAは純日本産の圧縮形式としても知られています。


LHAを開発した日本人「吉崎栄泰」氏とは?

「LHA形式」を開発した日本人が「吉崎栄泰(よしざき はるやす)」氏です。
データ圧縮のソフトウェアを開発した人ですが、実はとても珍しい経歴の持ち主だったりします。
では、吉崎栄泰氏の経歴と、LHA形式の開発エピソードを見ていきましょう!
本業はエンジニアではなく内科医
吉崎氏は、1955年に北海道旭川市で生まれました。
吉崎栄泰氏は圧縮ソフトウェアの開発をした人ですが、本業はなんと内科医のお医者さんです。
札幌医科大学と大学院で内科学を専攻して病院勤務の内科医となり、帯広協会病院の副院長などを務めました。
現在は、北海道の帯広中央病院の名誉院長を務めています。
医師としても素晴らしい経歴と実績を持つ方なのです!


フリーソフトウェアにすることで広く普及させる

圧縮ソフトウェアのLHAには、「LZARI法」という元となる圧縮アルゴリズムがありました。
このLZARI法を開発して1988年に発表した人が「奥村晴彦」氏です。
奥村氏は計算機科学者で、松阪大学や三重大学で教授を務めた方です。
プラズマ・核融合学会や情報処理学会から賞を受賞するなど、多くの素晴らしい功績があります。
吉崎氏がLZARI法のアルゴリズムを改良してLZHUF法を開発
奥村氏が発表した「LZARI法」を知った吉崎栄泰氏は、「LZARI法をさらに改良すればもっと効率的な圧縮アルゴリズムになるかもしれない」と考えました。
「LZARI法」は、「LZSS法」を算術符号化させたものでした。
吉崎氏は、「LZARI法」を算術符号化ではなくハフマン符号化することで、新しい圧縮アルゴリズムの「LZHUF法」を開発したのです!
LZHUF法は、LZARI法と比較して効率が大きく向上した圧縮アルゴリズムになりました。
このLZHUF法を採用した圧縮形式「LHarc」を公開したところ大きな反響がありました。
ついに、LHAが完成!
その後、吉崎氏は奥村氏と交流を持ち、さらにLHarcの圧縮アルゴリズムの改良を続けていきます。
奥村氏が協力してくれたおかげでアルゴリズムの改良は進み、1990年頃に「LHarc」から「LHA」へと名前を変更しました。
改良された「LHA」は、たくさんのボランティアの協力によって、「UNIX版」「Macintosh版」「Windows版」に移植されて広く普及することとなりました。
吉崎氏の功績のほか、多くの人の協力があって開発された圧縮ソフトがLHAなんですね。
フリーソフトウェアとして世界中に普及
アルゴリズムの改良を続けて開発された「LHA」は、世界に広く普及してZIPとともに代表的な圧縮形式となりました。
LHAが世界で広く普及して使われるようになった大きな理由は、フリーソフトにしたことです。
フリーだったことで多くの人に幅広く利用されることになります。
そして、LHAは1992年に第1回フリーソフトウェア大賞で大賞を受賞しました。
これだけ優れた圧縮ソフトウェアをフリーにしたなんて、吉崎氏の心の広さがよくわかるエピソードですね。
また、LHAの完成に多くの人の協力があったことも、フリーソフトにしてたくさんの人に使ってもらいたいと考えた理由の1つだったかもしれません。






