電子書籍「グーテン・プロジェクト」
ドラマ化されて面白かったので、電子書籍で原作を読んでみようと思って
電子書籍は誕生してから実は約50年経っているんじゃよ
もっと最近かと思っていました
マイケル・S・ハートが始めた「グーテン・プロジェクト」は今も続いており、誰もが無料で利用できるようになっている
きっかけはアメリカ独立宣言
マイケル・S・ハートは1947年に、アメリカニューヨーク州のタコマで生まれました。
両親はシェークスピアの研究をしていたので、ハートも幼い頃から親しんでいきました。
また家にあるテレビなどの家電製品を修理したり、ラジオを組み立てたりするのが好きな少年でした。
やがてハートはイリノイ大学に進学し、ヒューマンマシンインターフェイスの学位を取得して卒業し、大学院へと進みました。
その頃のハートはストリートミュージシャンとなっており、音楽に夢中の大学時代を過ごしました。
しかし、そんなハートに転機が訪れます。
のアカウント
その当時のイリノイ大学の研究所には、大型汎用コンピュータ「Xerox Sigma V」が置かれていて、教授や限られた学生たちが研究のために使用していました。
その学生たちのなかにはハートの兄弟の友達も含まれ、ハートとも親しくしていました。
ある日ハートに、コンピュータへアクセスできるアカウントを作成してくれました。
ハートは大変感激し、何か役立つことをして恩返ししたいとハートは感じました。
グーテン・プロジェクトのスタート
1971年12月、その日ハートは花火を見て、帰りに食料品店に立ち寄り、アメリカ独立宣言が書かれた無料配布の冊子を持ち帰りました。
ハートは帰宅し、ふと思いつきます。
イリノイ大学にある「Xerox Sigma V」はネットワークできるようになっていて、ハートはいずれネットワークが広がり多くの人がコンピュータを使用できるようになるだろうと考えていました。
そこで文学作品を、無料配布の冊子のように、コンピュータを利用して自由に読めるようにしよう。
ハートは早速「Xerox Sigma V」にアメリカ独立宣言を入力します。
そして電子メールで多くの人に送りたいと思いましたが、それではコンピュータがクラッシュしてしまうと言われ、それぞれにダウンロードしてもらうようにしました。
こうして始まった本のデジタル化は、「グーテン・プロジェクト」と名付けられスタートします。
「聖書」や「ホメロス」「シェークスピア」「マークトウェイン」などの作品を次々とハートは入力していくのでした。
グーテンベルクは、活版印刷を発明して、本の大量生産を可能にした。
ハートもグーテンベルクのように多くの人に本を読んでもらいたかったんですね
不思議の国のアリス
ハートは本の入力作業をコツコツと続けていきます。
スキャナーやOCRが発売されるまで手作業は続きました。
まだ公開している電子書籍は100冊までいかず、苦労と忍耐の連続でした。
そんな日々を過ごすハートは1989年、ある話を耳にしました。
とある子供がグーテン・プロジェクトで入手した「不思議な国のアリス」を読み始めたということでした。クラスでこのことを話すと、友達も読みたいと家でいっしょに読み、だんだんと人数が増えてきたというではありませんか。
ハートはこの話を聞いて、自分がしてきたことに間違いなく、電子書籍は必ず成功するだろうと確信しました。
1992年、ハートは1.44MBのフロッピーディスクに、標準的な量の本を収めることに成功しました。
この成功にハートは、将来写真やイラスト、音声、3Dもコンピュータに保存した本「電子ブック」ができることを予測するのでした。
広がる支援
一人で「入力」「校正」「アップロード」の作業活動を続けてきたハートに、イリノイ大学のマーク・ジンゾウがプログラマーとして参加してくれることになり、ジンゾウはミラーサイトやメーリングリストを使用してボランティアを募集できるようにしてくれました。
そのおかげでボランティアは多く集まり、公開できる電子書籍も一気に増え、グーテン・プロジェクトは一気に成長するのでした。
1994年にはイタリア人のピエトロ・ディ・ミチェリが、グーテン・プロジェクトのサイトの作成と管理をするようになり、電子書籍を整理して、ユーザーが利用しやすいサイトにしました。
またカーネギーメロン大学がプロジェクトの財政管理を引き受け、ハートの負担も徐々に軽くなっていくのでした。
2000年にはNPO法人「Project Gutenberg Literary Archive Foundation, Inc.」をミシシッピー州で設立し、ハートはCEOに就き、寄付金が税金控除の対象と認められました。
グーテン・プロジェクトの哲学
ハートはコンピュータに入力できるものは無限に複製できるとし、「レプリケータ技術」と呼びました。
レプリケータ技術は、現在、未来のコンピュータ事情に関わらず、人々が自由にグーテン・プロジェクトを利用することをハートは希望していました。
そのための取り決めをグーテン・プロジェクトの「哲学」としています。
ハートはグーテン・プロジェクトがずっと続くためにこれらのことを考えたのでした。
電子書籍は標準的なメディアに収まる一般的なサイズにする必要がある。
300ページの本は約1MBのメモリーを使用するため、なるべくファイルは小さくして、1枚のディスクに収まるようにしないといけない。
誰もが簡単に使用できるようにするため、使用方法、読み取り方法、引用方法、検索方法を気にする必要がないようにする。
表示するテキストの文字を標準的なフォント「Plain Vanilla ASCII」に統一することで、どのコンピュータからも見られることが大事。
著作権の延長
グーテン・プロジェクトでは、著作者の許可を得た本、または著作権がなかったり、放棄されたりしたパブリック・ドメインの本をデジタル化していました。
パブリック・ドメインの本は、絶版となり世の中から忘れられた状態になりやすく、ハートはそれを避けたい想いがありました。
しかしアメリカの著作権の期間は30年から1998年には95年と伸びてしまい、デジタル化できる本は次第に少なくなっていきました。
このことは多くの人が様々な作品に触れられず、必要な知識を得ることが出来なくなります。
本を買えない貧しい人々の差別にも繋がり、民主主義に反するとハートは考えたのです。
じゃが、デジタル化すればその心配はなくなるんじゃ
万冊の本を世界中の億人に
ハートと多くのボランティアによって、グーテン・プロジェクトは2002年には5千冊を超えました。
現在では6万冊を超え、60を超える言語で作成しています。
どのディスプレイでも、特別なソフトウェアを必要とせず、無料で利用できる電子書籍として今も多くの人に利用されています。
ハートはベネディクト大学の電子テキストの教授やカーネギーメロン大学の客員教授を務めながら、活動を続けていましたが、日常生活は質素に暮らしていました。
車や家電の修理は自分で行い、病気になっても家庭薬で済ませ、自分のことに関してはほとんどお金を使わず、グーテン・プロジェクトのために使っていたのでした。
そのような生活を約30年続けて60歳を超えたハートは、そろそろグーテン・プロジェクトから退くことを考え始めていました。
それからしばらくして2011年64歳でハートは息を引き取りました。
100万冊の本を世界中の10億人に
ハートのこの想いは今も続いています。
わたしも見習わないといけないな、と素直にそう思いました!
いろいろと付き合いがあるからな!
何ですかコレ?
経費と認めません。却下です。
私はミステリー小説の続きが読みたいので失礼します。