なんでインターネットに繋がるの?
TCP/IP とは
タブレット、PC、スマートフォン、家電製品。
機器の種類やメーカーが違っていても、インターネットになぜ繋がるのか?
それを可能にするのは、通信の規約(プロトコル)があるからです。
数あるプロトコルのうち TCP/IP は、機器間の接続にほぼ欠かせないプロトコルで、デファクトスタンダード(事実上の標準)になっています。
ビントン・サーフ氏
ビントン・サーフ氏引用:ウィキペディア
開発者は、インターネットの父と言われている ビントン・サーフ氏 と ロバート・カーン氏。
本記事では、ビントン・サーフ氏の功績 や TCP/IP 開発の背景についてご紹介していきたいと思います。
【TCP/IP】
通信のプロトコルで、 TCP と IP のプロトコルを合わせた言葉になります。
TCP
ホスト(PC、Webサーバー)間の通信が確実に届くよう信頼性を確保するためのプロトコル。
一度に送るデータのバイト数を、データの送信前にホスト間で確認し合い、データの送信を行っています。
データは、小分けにし(小分けにしたデータは、パケットと言います)、番号を割り当てます。
データ受信側にて、通信のロスで届いていないパケットの番号が確認できた場合、送信側に届いていないことを伝え、欠けている番号のデータを要求します。
これにより、通信の信頼性を確保します。
【UDP】
TCPとは別にUDPというプロトコルがあります。UDPは、TCPと違いデータ送信前に相手のノードとやりとりは行わず、一方的にデータを送付します。音声や映像など即時性を求められる通信や、少量のデータを転送するアプリケーションは、UDPが使用されることが多いです。
IP
PCやサーバーに割り当てるアドレスについてのプロトコル。
実社会でも手紙などを送る際に宛先や送り元の住所を書くように、パケットにもアドレスの情報が入っています。
IPのアドレスは、2の32乗の数字からなり、全部で約42億個のアドレスがあります。
そして、インターネットが普及するとアドレスが足りなくなる恐れがあることから、IPv6が開発されました。
IPv6は、2の128乗の約340澗(1澗は1兆×1兆×1兆)個のアドレスがあります。
ビントン・サーフ氏のTPC/IP開発の背景
ビントン・サーフ氏のTCP/IP開発を紹介するには、世界初のパケットネットワークである「ARPANET(アーパネット)」について説明する必要があります。
ARPA(Advanced Research Projects Agency:高等研究計画局)が一般公募で、様々な研究の資金提供の一つとして開始されたプロジェクトが「ARPANET」で、1967年に研究が開始されました。
【ARPANET】
世界で初めて運用されたパケット通信コンピュータネットワークであり、インターネットの起源でもある。アメリカ国防総省の高等研究計画局が資金を提供し、いくつかの大学と研究機関でプロジェクトが行われた。
1969年10月にARPANETは、4つの拠点を電話回線でIMP(ルータの前身)という機器を繋いで運用を開始します。
4つの拠点とは、『ユタ大学』『カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)』『カリフォルニア大学(UCSB)』『スタンフォード大学』です。
ビントン・サーフは、UCLAに当時在籍しており、大学院生として参加していました。
最初の送信メッセージは「login」
最初の送信メッセージは「login」でした。
しかし、途中でシステムがクラッシュし、届いたのは「lo」の二文字だけでした。
ホストコンピューター同士を結ぶプロトコロルとして、当時は、NCP(Network Control Program)を使用していました。
この頃、いろいろな場所でパケット通信のネットワークが運用されるようになりましたが、異なるネットワークとの接続は当時できませんでした。
ゲートウェイにパケットを送ることを考えたロバート・カーン
1972年、ARPAに在籍していたロバート・カーン氏は、この問題に取り組みます。
今までは同じネットワーク同士の通信なので、直接ホストにパケットを送りました。
異なるネットワークに送る場合は、ゲートウェイという機器にパケットを送ることを考えます。
ゲートウェイが異なるネットワークの違いを吸収して、送られてきたパケットを中継し、相手のホストに届けます
TCPの完成
1974年、ロバート・カーン氏とビントン・サーフ氏は「A Protocol for Packet Network Interconnection」(パケットネットワークの相互接続プロトコル)という文書を発表します。
この文書のプロトコルが、TCP/IPの原形になります。
同年、「異なるネットワーク同士を繋ぐインターネット」を実現させるためのプロトコルが完成します。
そのプロトコルは、TCP(transmission control protocol)と名付けられました。
TCPは当初、現在のIPの部分も機能を有していました。
ルーターがこれらの処理を行うと負荷が高くなるため、データの送信に使用するアドレスの仕様はIPが受け持ち、ホスト間の再送制御等はTCPが受け持つようになります。
ARPANETのTCP/IPへの切り替えが完了
ビントン・サーフ氏は、1976年から1982年の間に、国防高等研究計画局のDARPAでTCP/IPの研究・開発・計画に携わります。
1977年、ARPANETと他のネットワークをゲートウェイで接続し、通信試験を実施。
1つのパケットも欠落することなく見事成功。
1981年1月1日、ARPANETのプロトコルTCP/IPへの切り替えが完了します。
ビントン・サーフ氏の現在
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