代表的なOSの歴史
万能コンピュータOS
初期のコンピュータは「科学技術計算専用コンピュータ」「事務処理専用コンピュータ」というように、用途に応じて生産しており、コンピュータを利用するために必要なプログラムはユーザーが開発していました。
当時のコンピュータのユーザーは、専門的な知識を持った技術者でした。
とはいっても、何から何まで全てユーザーがプログラミングするのは効率的ではありません。
例えば…
「キーボートから入力した文字を画面に表示する」
「データを磁気ディスクに記録する」
などの処理は、どのコンピュータでも共通のものです。
このため、「入出力装置の制御プログラム」が提供されるようになりました。
改良されたOS
その後、
(1)ユーザーがコンピュータをできるだけ使いやすくすること
(2)コンピュータのハードウェア資源(CPUやメモリ等)をできるだけ効率的に利用すること
を目的としてオペレーティングシステム「OS」が整備されていきます。
最初に確立されたOSは、1964年に発表された、IBMが開発した「OS/360 (System/360)」と言われています。
これは、1950年に最初の商用コンピューター「UNIVAC」が誕生してから14年後のことでした。
そして、OS/360 に追加された機能を体系的に整理して、新OSとして発表されたのが「MVS(Multiple Virtual Storage)」です。
UNIX(ユニックス)
1960年代、まだコンピュータは非常に高価だったため、多くのユーザーが同時に利用するシステムが望まれていました。
しかし、IBMの OS/360 は一括処理システムだったため、処理の順番待ちが発生していたのです。
そこで、「AT&T社のベル研究所」「マサチューセッツ工科大学」「ジェネラル・エレトニック社」の3機関で「Multics」というオンライン・マルチユーザー・システムの開発が始まりました。
しかし、高機能なシステムにハードウェアの能力が追い付かず、このプロジェクトは失敗に終わりました。
UNIXの起源
左:Ken Thompson(ケン・トンプソン) 右:Dennis Ritchie(デニス・リッチー)
その後、ベル研究所のケン・トンプソンが「Multics」の機能を整理し改善したOS「Unics」をつくりました。
これがUNIXの起源となったのです。
UNIXは高水準言語である、C言語で記述されていました。
そのため、Cコンパライラがあるコンピュータであれば簡単に移植することができたのです。
これは「Multi」を反省して「Uni」にしたというわけじゃな!
万能OSはどこまでも続く
開発にかかわった AT&T という会社は、アメリカの大手電話会社で、日本でいえば NTT のような巨大な企業です。
アメリカの独占禁止法によって、AT&T 社はコンピュータ事業への参入が禁止されていました。
そのため、UNIXは大学や企業の研究所などに、利益が出ない程度の価格で配布されました。
その際にソースコードも付けられていたため、配布先で改良が加えられて、色々な派生版UNIXが生まれました。
今ではUNIXは、パーソナルコンピューターからスーパーコンピュータまで全ての種類のコンピュータで動くOSとなっています。
しかし、Unixという名前を使わなければ無料で使えるというわけじゃ
UNIX開発秘話はこちら
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Linux(リナックス)
Linuxの生みの親はリーナス・トーバルズ
1991年、リーナス・トーバルズがUNIXを参考に0から作成したOSが「Linux」です。
リーナス・トーバルスは、当時フィンランドの大学生でした。
大学の授業で使っていたUNIX(Minix)の仕様を参考に、自分の勉強のために新しいOSを開発したのです。
この時、UNIXのソースコードは一切流用していませんでした。
オープンソース化
しかし、リーナスは LINUX をオープンソース化したため、世界中に広まったと言えます。
UNIX はライセンスの制約もあり、自由な公開や改変がしづらい面がありました。
それに対してLinux は、自由に改変ができ商用利用も可能でした。
このため、Linux は多くの企業でサーバーOSとして利用されるようになりました。
Windows(ウインドウズ)
Windows は現在、パーソナルコンピューター用のOSとして大きなシェアを占めています。
Windows 普及の背景にあったのが、マイクロソフト社の屋台骨を支えることになる MS-DOS の成功でした。
MS-DOS
コンピュータ業界の巨人IBMは、1980年にパーソナルコンピューター(IBM PC)の開発にも着手します。
しかし、主力の汎用コンピュータに比べてわずかな予算と人員しか割り当てられませんでした。
そこで、ソフトウェアの開発を外注することになり、発注先としてマイクロソフト社が選ばれたのです。
IBMとマイクロソフト社の契約では、開発した OS を他社に販売することが認められていたため、『IBM製PC用にはPC-DOS』、『マイクロソフト社のブランドではMS-DOS』としてリリースされていました。
MS-DOS は70社以上のメーカーに供給され、1980年代にはパーソナルコンピューター用OSの標準となっていきます。
Windows
MS-DOSは、キャラクターベースのOSでした。
しかし、1985年にはグラフィカルな画面をマウスで操作する Windows が発売されました。
当初、Windowsは、MS-DOSの機能追加版として提供されていて、MS-DOSから起動していました。
Windowsの歴史はこちら
Mac OS(マック オーエス)
Mac OS とは、1984年に発売されたアップル社の Macintosh に搭載されていたOSです。
Macintosh は、マウスやウインドウ、アイコンやメニュー操作といった「GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)」を備えた最初のパーソナルコンピュータでした。
GUIのアイディアは、ゼロックスのパロアルト研究所で開発中だった「Alto(アルト)」で、すでに実現されていたものです。
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そして、アップル社のジョブズ氏が「Alto」を参考にして、自分の会社でつくったのが「 Macintosh 」です。
Macintosh の人気は、マイクロソフト社が Windows を開発する動機付けにもなりました。
Apple製品の歴史はこちら
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