スマホがない時代はどうやって外でネットを使ってたの?
1.PDA(携帯情報端末)とは
PDA とは、Personal Digital Assistant(パーソナル・デジタル・アシスタント)、もしくは Personal Data Assistant の(パーソナル・データ・アシスタント)の略で、個人向けの情報管理端末のことを指します。
PDAはどんな感じで使われていた?
予定をチェックしたり、住所録代わりに使ったり、ちょっとしたメモをとるなど、手帳のように使われていました。
それと同時に、メールのやりとりをしたり、インターネットをのぞいたりといったことも行うことができました。
ただ、PDA では、今日のスマートフォンのように、電話をかけることはできません。
電話は、すでに当時広く普及していた、単機能の携帯電話(ケータイ)の役割でした。
PDA に使われた OS は、「Palm OS」や「Windows CE」、機種によっては「独自開発のOS」を使うなど、今日よりはるかにバラエティに富んでいました。
2.パームサイズPC(ポケットPC)
手のひらサイズの PDA のことを「パームサイズ型PC」や「ポケットPC」といいます。
このタイプの PDA は、スマートフォンの直接の先祖に当たります。
手のひらサイズの携帯情報端末は、PDA の王道を行く製品です。
OSは大きく分けると2種類
パームサイズPCは、OSに「Palm OS」を使ったものと、「Windows CE」を使ったものに大別されます。
Palm OSを使ったものは、パームPC(パームサイズではない)、Windows CEを使ったものはポケットPCと呼ばれました。
パームPCには、パームコンピューティングの「Palm」、ハンドスプリングの「Visor」、IBMの「WorkPad」などがあります。
ポケットCEには、コンパックの「iPAQ」、カシオの「CASSIOPEA」、HPの「jornada」、東芝の「Genio e」などがありました。
また、シャープの「Zaurus」のように、独自のOSを使ったり、フリーOSである「Linux」を採用したりといった、どちらにも当てはまらない機種もありました。
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形はスマホだが
パームサイズPCのほとんどは、今日のスマホによく似た形をしています。
しかし、スマホのように、指先で液晶画面をなぞって画面を動かしたり、文字の入力をしたりするのではなく、下部にある小さなダイヤルで画面をスクロールして使っていました。
この小さなダイヤルは、機種によって工夫がされていて、なかなか興味深いです。
いろいろな特徴を持ったPDA
さまざまなメーカーが、いろいろな特徴を持った PDA を発売しました。
Palm OS を使った入力には、パームPCの Graffiti(グラフィティ)に代表される手書きや、今日のスマートフォンのようなソフトキーボードによる入力が使われました。
手書き入力には、小さくて細いペンのような形をした棒(スタイラスペン)を使いました。
しかし、この入力方式には不満を感じたユーザーも多く、小さいキーボードを本体に付た PDA も登場しました。
Blackberry(ブラックベリー)
代表的なものが、独自OSを搭載した「Blackberry(ブラックベリー)」という機種です。
シャープの「Zaurus」でも、本体のカバーの中にスライド式のキーボードを隠してある「MI-E1」という機種を、発売したこともあります。
HPがコンパックと合併した後に販売した「iPAQ」には、小さなQWERY式のキーボードをオプションで取り付けることができる製品もありました。
3.ハンドヘルド型PC
ハンドヘルド型PCは、パームサイズ型とは異なり、横長で、そこそこ使いやすいキーボードが付いており、外出先で文章を打ち込むのに便利でした。
この分野で最も有名だったのは、「シグマリオン」です。
NEC が製造して NTT docomo が発売したこの名機は、当時、一部のヘビーユーザーに強く支持されました。
シグマリオンの他にも、カシオ計算機が1997年に発売した「CASSIOPEIA A-50/51」、「hp jornada 680」~「hp jornada 728」なども人気があります。
また、独自の道を進みながら、常に根強いファンを獲得していたイギリスの「PSION(サイオン)」も、忘れてはいけません。
4.ミニノート型パソコン
小型だったのは、PDA だけではありません。
Windows が搭載されたごく普通のノート型パソコンの中にも、びっくりするほど小さなサイズの製品がありました。
このようなパソコンは、「ミニノート型」と呼ばれていました。
Libretto(リブレット)
ミニノートパソコンとして最も有名だったのは、1996年に登場した東芝の Libretto(リブレット)です。
Windows が入ったパソコンとして、当時、世界最も小さく、最も軽いものとして評判になりました。
リブレットは発売直後から、パソコンのモバイルユーザーに重宝され続けました。
リブレットのシリーズは、モデルチェンジを繰り返しながら、2005年まで新しい機種が発表され続けます。
しかし、2005年に、ノート型パソコン発売25周年の際の記念モデルのひとつとして、Libretto W100 が発売された後、終わりを迎えます。
Let’s Note mini
また、現在も製品が作り続けられている Panasonic の「Let’s Note」の初期には「Let’s Note mini」という小型でユニークな機種が作られていました。
どこがユニークなのかというと、ポインティングデバイスとして、今日のようなタッチパネルではなく、光学式のトラックボールが使われていたことです。
トラックボールは、ポインティングデバイスの中では、最も指に優しく、転がしながら作業をする感触がとても気持ち良いものでした。
ですが、パソコンをトラックサイズに見合った厚さにしなければならないことなどから、次第に採用されなくなり、今日では全く製造されていません。
(なお、リブレットの場合、ポインティングデバイスは、特殊な形のスティックでした。)
ネットブック
ミニノートのブームが去った後、全く新しいコンセプトの小型パソコンが出現し、スマートフォンやタブレット端末が普及するまでのつなぎの役割を果たしました。
それは、「ネットブック」と呼ばれるパソコンで、2007年から2012年の間に発売されました。
ネットブックは、当時の一般のパソコンより、スペックを落とす代わりに、安さと軽さと追求した小型のパソコンです。
スペックが低いため、高度で複雑な作業にはいくらか無理がありました。
ですが、外出先でインターネットを使って調べ物をしたり、メールを確認したり、長い文章をキーボードで打ち込む程度の使い道には、十分役に立ちました。
ちなみに、大多数のネットブックはシンプルな外観をしていました。
5.PDAとスマートフォンの後に来るものは?
現在は、パームタイプのPCに電話機能を付けたスマートフォンが全盛の時代です。
世の中の携帯情報端末は、このスマートフォンをスタンダードとしたまま、今後も発展して行くのでしょうか?
現在は、スマートフォンの入力は、液晶画面上に表示されたフリック式のキーボードを指ではじきながら入力する方法が主流です。
スマートフォンより大型のタブレット型の端末では、QWERY式のソフトウエアキーボードを使います。
これらは、短いメッセージを送り合うのには、優れた方式です。
しかし、もっと長い文章を外出するためには、昔のハンドヘルド型のように、小さくても、しっかりと打ちやすいキーボードが付いている方が便利です。
PSIONのような端末を懐かしがる人は存在する
単にフリック式の入力に慣れたら良いのでしょうか?
いいえ、今でも昔の PSION のような端末を懐かしがっている人は少数ながら確実に存在しています。
現在でも使用可能な、キーボード付のスマートフォンといったタイプの端末もごくわずかながら販売されています。
次の世代の携帯情報端末兼電話機はどうなる?
一方で、携帯電話機として使う場合は、スマートフォンは少しだけ大き過ぎかもしれません。
そして、タブレット端末やキーボード付の PDA は、電話として使うのには全く向いていません。
電話のニーズと、昔のPDAとしてのニーズ、双方にぎりぎりのところで合致しているのが、現在のスマートフォンというべきでしょう。
しかし、現在のスマートフォンは、使う立場から考えると、あまりにも中途半端な印象を受けます。
次の世代の携帯情報端末兼電話機は、現在のスマートフォンより大型に?
それとも、小型になるのでしょうか?
キーボードは、どのような形で残るのでしょうか?
想像を巡らせれば、いろいろな可能性を思い描くことができますね。
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