Windows派?Mac派?Linux派?
Mac派ですか?
でも日常的に使うものじゃないでしょ?
実は、Linux は現代の生活にはなくてはならんものなんじゃ!
オープンソースOS「Linux(リナックス)」
WindowsやmacOSと違い、Linux(リナックス)は「オープンソース」と呼ばれる「誰でも自由に入手、改変できるオペレーティングシステム」です。
オフィスや家庭で使用されるパソコンにインストールされているわけではないので、身近に感じていない人も多いかもしれません。
しかし、現在稼働しているサーバーの70%以上はLinuxで動いており、スマートフォンにも使われています。
そのほか、様々な機器で使用されているLinuxはどのように生まれ、発展してきたか見ていきましょう!
Linuxの生みの親「リーナス・トーバルズ」
Linuxの開発者「リーナス・トーバルズ」は1969年、フィンランドのヘルシンキで生まれました。
1990年、ヘルシンキ大学の学生だった彼は、MINIX という学習目的のUNIX系OSを開発したオランダの「アンドリュー・タネンバウム」の著作に影響され、自分もOSを作ってみようと思い立ちました。
UNIX や MINIX はライセンスの問題があったので、それを参考にしながらもほぼオリジナルのOSに仕上げます。
そのOSを「Freax」と名づけ、他の人にも使ってもらおうとネットに公開しようとしました。
しかし、協力した友人のアリ・レンクはその名前が気に入らず、「Linux」という名前でサーバーにアップしました。
自分の名前を付けることには気乗りしなかったといいますが、1991年に公開されたLinuxは大きな反響を巻き起こします。
無償で使えて、改変する事も自由。
これに興味をもったコンピューター愛好家たちによるコミュニティが生まれ、競って改良が加えられていきました。
企業ではない有志の集まりによって拡大していったこの活動が、コンピューターの歴史を大きく変えて行くんじゃよ
「それがぼくには楽しかったから」
リーナスはあくまで趣味としてLinuxを制作し、それが多くに人々によって改良されていくさまを楽しみました。
ビジネスとしてコンピューターに取り組んだビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズとは対極の姿勢です。
Linuxを作る過程を自ら綴った著作のタイトルは「それがぼくには楽しかったから」です。
まさに彼の根源的な動機を表しています。
進化するLinuxカーネル
彼が作ったのはOSの根幹である「カーネル」と呼ばれる部分です。
最初に公開されたカーネルのバージョン0.01は、リーナスが1人で4カ月かけて制作し、そのソースコードは 10,000 行でした。
それが、94年のバージョン1.0.0では 17万6,250行 となり、2001年には 337万行、2017年には約2500万行 と巨大化していきます。
2010年時点の試算では、もしこれを一般の企業が開発したら、1200億円以上かかるとのことです。
Linuxのコミュニティに集まった人々は、それぞれが開発者であり、またテスターであり、無償で相互に協力してOSを進化させていったのです。
リーナスの法則
オープンソースで開発していくことのメリットはこんな言葉で示されています。
「十分な目ん玉があれば、全てのバグは洗い出される」
(Given enough eyeballs, all bugs are shallow)
つまり、少数で開発していれば見過ごされてしまうバグも、大勢で見れば見つけられるというものです。
これはプログラマーにして作家の「エリック・レイモンド」がオープンソースの利点を表現した言葉ですが、敬意をこめて「リーナスの法則」と名付けました。
ごく単純な法則ですが、これは企業が行える方式ではなく、自発的に参加したいという人が膨大に集まってくるオープンソースだからこそできる開発方法です!
Linuxが元祖なんですか?
それに近いものとして「自由ソフトウェア」という運動があったんじゃが、これは企業がソフトを独占することに反発した社会革命運動に近いものじゃった…!
多くの分野で活用されるLinux
1995年頃から大手企業のエンジニア達もLinuxの開発に参加するようになりました。
Linuxカーネルをもとに、様々な用途にむけたツールを組み込み「Linuxディストリビューション」に仕上げて販売するビジネスが始まります。
ビジネスベースに乗ったLinuxは、様々な分野で活用されていきます。
サーバー分野ではマイクロソフトも打ち負かす
サーバーを動かすOSといえば、以前は Windows や UNIX が一般的でした。
しかし、何十台、何百台のサーバーを管理する会社にとっては、その一台一台にライセンス料が発生すると経営が圧迫されてしまいます。
そこで、サーバー向けのLinuxディストリビューションが登場しました。
2010年代からシェアを伸ばしはじめ、現在では Windows とLinux(Linux を含む UNIX系)の割合は 3:7にまでなりました。
マイクロソフトも自社のサーバーをLinuxで稼働させることを認めています。
AndroidもLinuxがベース
Googleが開発したスマートフォン向け汎用OS、AndroidもLinuxカーネルを採用しています。
Androidはもともと「アンディ・ルービン」が2003年に設立した会社で開発されていましたが、2005年、Googleに買収されました。
カーネルがLinuxなので、Android自体もオープンソースです。
Googleを中心に、半導体やスマートフォンのメーカー、携帯電話事業者が集まって運営する規格団体が管理しており、日本からも多くの企業が参加しています。
2021年、Androidの世界シェアは、約71%にのぼります。
スパコン採用率100%
2017年、最速スーパーコンピューターのTOP500リストのすべてがLinuxによって稼働していることが発表されました。
スーパーコンピューターにLinuxが採用されるのには理由があります。
スパコンは通常、単一の目的のために設計されるものです。
そのために、いちいちカスタムOSを制作するのは大変なので、改修や最適化がしやすいLinuxが好まれています。
また、スパコンではCPUとメモリのワンセットを「ノード」と呼び、これを複数つなげて全体が構成されています。
このノードが100、200と増えるに従い、ライセンス料が加算されていくと膨大な金額となってしまうので、やはりLinuxは有利です。
ちなみに2021年、世界最速のスパコンとなった理化学研究所の「富岳」は、158,976ノードで構成されています。
「パソコンの機種を問わない、」「キュリティ性が高い」「余計な機能を排除できるから起動が早い」「サーバー用に限れば古いコンピューターでも使える」「カスタマイズ性が高い」とメリットを挙げればキリがない…!!
暴言王リーナス
こうして Linux は多くの機器に採用されていきましたが、開発はまだまだリアルタイムで進行しています。
そのバージョン管理などは非営利団体「Linux Foundation」によって行われており、リーナスはそこに籍を置き、「優しい終身の独裁者」として、公式 Linux カーネルの最終的な調整役を務めています。
世界中の Linux ファンから神のようにあがめられる一方で、怒りに任せた感情的な言動が多いことでも有名です。
ほかの Linux 開発者に対し、激しい叱責や侮辱的な言葉をぶつけ、いわゆる「Fワード」を連呼することさえあります。
多くの人からたしなめられ、2018年には謝罪したうえで、一時的に開発から身を引いたことがニュースとなりました。
さいごに
2001年、リーナスは自著の発売に際して日本を訪れた際、「すばらしい技術が商品化されるとなると作業の90%はマーケティングなどの技術以外の部分。そんなことには興味はない」と言っています。
プログラミングが大好きで、彼にとっては「ただ楽しいからやる」というのが、もっとも素晴らしいことなのです。
だからこそ、理想を追求し、時に暴走してしまうのかもしれません。
企業による開発とは違い、オープンソースには「みんなで作り、分かち合う」という、ある意味、民主的な思想が根底にあります。
しかし、その頂点に君臨しているのが「優しい独裁者」というのも皮肉な話…。
リーナスさん、暴言はほどほどにお願いしますm(_ _)m
私なんか「有料にしてたらどれだけ儲かったんだろう」と思ってました💰✨
ミツオカも今開発中のサービスをオープンソースde…