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    メディアチームメディアチーム
    2025.06.06

    IT技術

    株式会社じげん様:Cloud Run や Memorystore 等のフルマネージドサーバレスサービスの採用により、運用管理コストの大幅削減を実現

    株式会社じげん(以下、じげん)様では、2020年からGoogleCloudを導入されております。じげんのコアビジネスである賃貸サービス「スモッカ」のアプリケーションをバージョンアップしたのを契機に、これまで利用していた Compute Engine を中心としたシステム構成から、2022年より Cloud Run を中心としたサーバーレスサービスへの移行することでよりモダン化したシステムの構築を株式会社ライトコード(以下、ライトコード)と共に実施しています。

    Google Cloudの導入効果・評価

    • サーバレスサービスを採用し、サーバー管理の運用負担を削減
    • Cloud Run でユーザーに影響の無いリリースの実現
    • モニタリングサービスの活用により、迅速な異常の検知

    じげんは、「Update Your Story ― あなたを、未来に。」をパーパスに掲げ、求人・住まい・車・旅行などライフイベント領域を中心に40以上のサービスを展開するIT企業です。「生活機会の最大化」を基本理念に、情報の非対称性という社会課題に向き合い、人生の岐路に立つすべての人に新たな選択肢を提供することで、未来をアップデートする総合ライフプラットフォームカンパニーを目指しています。

    今回はじげんの多くのサービスの中でも中心である スモッカ の Google Cloud におけるマネージドサービス導入の拡張における成果や今後の展望を紹介いたします。

    GCE主体の構成からモダンアーキテクチャへの移行理由

    スモッカ は、日本最大規模となる約550万件の物件データベースから賃貸住宅を探せる検索サイトです。毎日更新される豊富な物件情報から、ライフスタイルにぴったりの物件を日本全国から簡単に探すことができます。こだわり条件での検索や、ニーズに合わせた物件を提案するレコメンド機能など、便利な機能も満載で、理想の住まい探しを提供します。

    じげんライフメディアプラットフォーム事業本部 住まいDiv. Division Headの小倉様は、「スモッカ は2020年にオンプレミス環境から Google Cloud に移行が完了しています。ただ、当時は環境の移行を優先したために技術的負債もそのままでした。今回の移行は技術的負債を解消するためにフレームワークのバージョンアップや、現在主流となっている最新の技術や設計を取り入れ、サービスのライフサイクルを伸ばし、保守性を向上し、運用コストを削減することを実現する堅牢なシステムを構築していく必要がありました」と話しました。

    株式会社じげん ライフメディアプラットフォーム事業本部 住まいDiv. Division Head 小倉 未来 様

    課題解決のために、基幹システムを Google Cloud でモダンフレームワークへと刷新することを決定

    ライフメディアプラットフォーム事業本部 住まいDiv. Division Manager兼 開発ユニット Project Managerの小菅様は、「スモッカ はアプリケーションのフレームワークのバージョンが古いため、このままの状態にしておくとセキュリティトラブルなどリスクを将来抱える可能性がありました。またアーキテクチャ的にもレガシー化しつつあり、システム全体としてバージョンアップを行う必要性がありました。そこでアーキテクチャもモダン化を進める上で、従来より利用してきた Compute Engine ではなく、Cloud Run の方が運用負担を削減できる試算となり Cloud Run への移行が行われる運びとなりました。」と話しました。

    ライフメディアプラットフォーム事業本部 住まいDiv. Division Manager
    兼 開発ユニット Project Manager 小菅 照和 様

    サーバレスサービスを積極的に採用、運用負担を削減

    既存のシステムでは、Cloud Load Balancing を使用して複数の Compute Engine にデプロイされたアプリケーションへトラフィックを負荷分散しています。また、Cloud Armor を利用して、必要に応じた IP 制限を実施しています。全文検索エンジンである Solr を Compute Engine 上にデプロイして運用しており、アプリケーションのデプロイには Capistrano を利用しています。

    従来の「スモッカ」のアーキテクチャ

    じげん小菅様は、「従来のシステムでは、Capistranoを利用してGoogle Compute Engineへのデプロイを行っています。しかし、一部の作業では手動でコマンドを入力する必要があり、その都度時間を浪費してしまう状況です。さらに、デプロイ先であるCompute EngineはIaaSであるため、OSやライブラリ、必要なソフトウェアのインストール作業を手動で行う必要があります。このように、システム運用における手作業が多く、効率が悪いだけでなく、工数の増加やヒューマンエラーのリスクといった課題が発生していました。」と話します。

    サーバレスサービスへ移行後のスモッカのアーキテクチャ

    Solr などの一部のサービスは Compute Engine を利用していますが、その他は積極的にサーバレスサービスを採用しています。

    「現代のソフトウェア開発において、CI / CD パイプラインは必須の構築要素です。スモッカ では、Cloud Build を中心とした CI / CD パイプラインを実装しており、Github からソースコードを収集し、Cloud Build で自動化されたビルドパイプラインを実行、脆弱性スキャンも実施してくれる Artifact Registry を使用してイメージを管理、最終的に Cloud Run へデプロイする構成です。」とライトコード小林は話します。

    株式会社ライトコード スモッカリニューアルプロジェクト プロジェクトリーダー 小林

    Cloud Build では、開発者が数クリックするだけで任意のブランチをデプロイできるため、実行環境への反映作業負担が極めて軽く、ストレスの無い CI / CD パイプラインは開発者にとって大きなメリットです。

    アプリケーションは、高いスケーラビリティ、安全性、可用性が要求されます。これらの要求を満たすために、ロードバランサー、+Cloud Run、Cloud Endpoints を利用したサービス構築を行っています。バックエンドのCloud Runには、フロントエンドのCloud Runから、Cloud Endpoints(ESPv2)を介して接続を行うことで、バックエンドの保護を行っています。

    じげん小菅様は、次のように話します。「アプリケーションのデプロイ先である Cloud Run は、サーバレス構成の中心的役割を担い、少ないエンジニアリソースで柔軟に運用でき、高いスケーラビリティを備え、リクエスト処理中のみ課金されるためコスト効率が高い点が魅力です。トラフィックの急増時でも、開発者が介入せずに、自動スケーリングによりコンテナインスタンスが増減します。Cloud Run の採用から現在に至るまで、リソース不足によるサービストラブルは発生していないため、安定性が十分に確保されており、スケーラビリティが適切に機能していることを実感しています。」

    フロントエンドのキャッシュには Memory store for Redis をキャッシュストアとして使用することで、高速なレスポンスを実現。アプリケーションの表示速度に優れたユーザー体験を提供します。

    「いずれのサーバレスサービスも、Google Cloud がインフラ管理を担うため、OS やセキュリティパッチの適用が不要で、アプリケーションの開発に集中できることから運用コストの削減につながっています。」ライトコード小林はいいます。

    「サーバーレスの導入により、手作業の削減によってヒューマンエラーのリスクが低減し、OS やミドルウェアの管理に費やす時間も削減されたことで、開発に専念できるようになりました。Compute Engine は高いカスタマイズ性を備えていますが、インフラの運用管理が負担となっていたため、Cloud Run を採用することでその負担から解放されたことは大きな成果だと感じています。」—じげん小菅 様

    Cloud Runでユーザーに影響の無いリリースの実現

    ユーザーに影響を与えないサービスのリリースは重要な課題です。

    「従来のリリース作業では、SSH 接続を行い、手動でコマンドを入力する必要があり、手間がかかっていました。また、リリース作業でトラブルが発生した際にはロールバックを行う必要があるためにサイト影響を最小限に抑えることが課題となっていました。」とじげん小菅様

    Cloud Run は、ブルーグリーンデプロイをネイティブにサポートしており、現在稼働中のバージョンと新しいバージョンをスムーズに切り替えられるため、迅速で安全なリリース作業が可能です。リリース中も、利用者への影響がほぼ出ないため、利用者はリリースを意識することなく、リリース作業中も安定したサービスを利用できます。

    ライトコード小林は次のように話します。「新しいバージョンでトラブルが発生した場合、ロールバックに時間がかかるようでは、ユーザーへの影響が大きくなってしまいますが、Cloud Run であれば、迅速に元のバージョンに戻せるため、ユーザーへの影響を最小限に抑えられます。」

    GUI 上で過去のバージョンから最新のバージョンまで、どのバージョンにも簡単な操作で切り替えられるため、リリース作業が誰でも行いやすく、開発現場でありがちな属人化の問題を回避できます。GUI コンソールが視覚的に分かりやすいため、現在反映されているバージョンが、どのバージョンなのかが一目でわかる点も、嬉しい要素です。 「スモッカでは、Cloud Run への移行後、リビジョン切り替えでのトラブルは発生しておらず、開発者が安心してリリース作業を実施できています。」と、ライトコード小林は話します。

    「マネジメントコンソールの GUI を使った直感的なリリースが可能になり、ロールバックも簡単かつ迅速に行えるようになりました。さら に、性能変更も数回のクリックで完了できるため、従来と比べて圧倒的に容易かつ迅速に適用できるようになりました。」と、じげん 小菅 様

    モニタリングサービスの活用による、迅速な対応

    ITインフラ運用において、サービスの安定性を維持するための監視体制は不可欠です。しかし、監視体制は複雑な設定や運用コストの増加が課題となることが少なくありません。

    「本番環境で異常を迅速に検知し対応できるよう、運用を最適化する必要があります。ただし、大量に出力されるログを確認するだけでは、効果的な運用とは言えません。」と、じげん小菅様。

    この課題に対して、ライトコード小山は次のように話します。 「スモッカでは、Cloud Monitoring や Cloud Logging を活用し、これらの課題を解決し、運用監視の負担を大幅に軽減しています。 Google Cloudの様々なサービスを利用していますが、Cloud Monitoringを利用することで、Cloud Runのインスタンス数や、Memorystoreのメモリ使用率、Cloud SQLのクラッシュの検知など、各サービスの一元的な監視を行うことにしました。」

    株式会社ライトコード スモッカリニューアルプロジェクト クラウドアーキテクト 小山

    Cloud Monitoringの機能のひとつにアラート機能があり、特に複雑な設定を行うことなく、メールやSlackに通知を送信できるため、リソーストラブルの防止や、障害発生時の迅速な対応を行うことが可能となっています。また、通知の内容は、自由に設定できるため、対応策をあらかじめ記載しておくことで、アラートに対してのアクションを明確にして運用しています。

    「Google Cloud のログサービスといえば、Cloud Logging ですが、スモッカでもアプリケーションのログを収集し、エラー発生時の調査や分析に利用しています。Cloud Loggingでは、GUIでログの件数を視覚的に可視化でき、エラーの発生傾向などが直感的に見て取れるので重宝しています。また、Cloud LoggingのログはURLで共有することも可能なので、開発者間のログの共有が容易となり、迅速なエラー調査に寄与しています。」と、ライトコード小林はいいます。

    モニタリングサービスは、利用者に直接影響するサービスではありませんが、品質の高いモニタリングを運用することで、最終的により良いサービスの提供に繋がるため、Google Cloudのモニタリングサービスが充実しているのは、非常に重要なことです。

    「Google Cloudのモニタリングサービスを活用することで、異常の見落としを防ぎ、迅速に対応できるようになりました。」—じげん 小菅 様

    今後の展望をじげん小菅様は、「システムが大規模なので全てを一度にモダン化することは難しいです。そのため段階的に移行は進めていきます。次のターゲットとしては稼働中のバッチ処理をマネージドサービスに移行することで、運用負担を軽減し、開発業務により集中できると考えています。今後は、Google Cloudの新しい適切なサービスを採用しながら、さらに効率的で効果的な運用体制の構築を目指していきます。」と話します。

    現在、スモッカでは、継続して運用負担の改善を進めています。 例えば、バッチ処理をCompute Engineで実施していますが、将来的に費用を抑えつつ、運用負担も減るように、Cloud Run Jobsに移行してサーバレス化を実現できないかを検討中です。

    Google Cloudのマネージドサービスを活用することで、開発を加速し、運用負荷を軽減し安定稼働を実現

    今回の基幹システムの刷新は、ライトコードがサポートしています。

    「ライトコードは、お客様のサービスに対して最適な提案ができるよう、常に最新の技術やサービスにアンテナを張っています。また、積極的に情報収集や研究を行い、それらを活用してお客様の課題を解決します。これにより、ビジネスの成長を支援する最適なソリューションをご提供いたします。」(ライトコード小林)

    Google Cloud でモダンアーキテクチャ構成をすすめる、その効果をじげん小倉様は、次のように話します。 「Google Cloudでモダン化を進めていくことで、開発効率の向上、運用コストの削減、システムの安定稼働を実現し、ビジネスの成長を加速させることができています。開発プロセスが効率化され開発期間を大幅に短縮することができました。またマネージドサービスを活用することで、運用管理の負担が軽減されました。開発者は運用管理に時間を取られることなく、アプリケーション開発に集中できるようになったため、開発効率がさらに向上しました。 セキュリティ対策やシステム監視などの運用負荷を軽減することで、安定稼働を維持できるようになりました。 さらにエンジニアもGoogleCloudの技術を最大限活用することでモチベーションを高めることが、社内のエンジニア、ライトコードのエンジニアにもいい影響が出てきています。」

    またライトコード小林は、「今回はCloud Runを中心としたサーバレスサービスを積極的に導入し、運用負担の改善を推進させていただきました。特に、Cloud RunではGUIコンソールでリリース状況が一目で確認できるので開発者にとっても安心に繋がると思っています。」と話します。

    ライトコードのサポートについて、じげん小倉様は、「Google Cloud 移行当時から、運用負担を軽減するためにマネージドサービスの活用を検討していましたが、マネージドサービス化は先送りになっていました。その後、ライトコードと一緒に改めてマネージドサービスへの移行と同時にモダンフレームワークを進めていき、ユーザーにより良い住まい探しの体験を提供できればと考えています」

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